11月の母島。夏の匂いとスクーター


11月某日。東京は段々と寒さを増し、ようやく冬の到来を匂わせる季節となりました

そんな中、竹芝港にバックパックを抱えた男が一人。なんとこの男、今年の7月に父島へ行ったばかりの男なのですが半年も経たずにまた小笠原諸島へ旅立つというのです。しかも今回は父島よりも遠い島、母島です。旅行ではなく出張ではありましたがその中身はもう半分以上旅。

24時間+2時間の船旅。酔と熱に揺られる旅が今始まりました

行きは小笠原丸一等客室。前回は全く酔いませんでしたが今回はかなり波が荒く、流石にアネロンを口の中に放り込むしか手はありませんでした

今回のお供はGFXにX100VI。島に相性が良いコンビでの撮影になります。電波もなくなりただ外を眺めるか寝るか愛用品を撮るか、そんなデジタルデトックスな旅もたまには良いかもしれません

長い長い船旅を経て40分遅れでたどり着いたのが以前も訪れた父島。心なしか夏の頃より天気がいい気もするので少し見回りますが、すぐに母島行きの船に乗り込まなければいけないのでゆっくりもしていられません。相変わらず物価は高いですが母島で買うよりかは安いはずなので買い込みます

母島丸の船は少し小ぶりで瀬戸内海で乗るような船のサイズ。2時間程度なので外でも眺めながらゆっくり島を目指します

そして日本人のほとんどが行かない、海外に行くよりも時間がかかる島である母島につきました。次の出港まで三日ほどあるのでその間は島を出られません。シャッターアイランドです

母島へ着いた時に感じるとてつもない夏の匂いがそこらじゅうに立ち込めています。もう11月だというのに照りつける太陽と夏の匂い。まだ夏は終わっていなかった

かつて島には集落が2つありましたが今では港の集落一つとなり、それ以外はただただ大自然が広がります。集落を見て回るだけなら30分もあれば事足りるので究極のスローライフかもしれません

ただし物価は通常の2倍レベルで高いのでそこは全然優しくはないです。ご飯どころも多くないしね

とはいえ小中学校はあるし子供も頻繁に見たのですごい青春だな…と感じましたね。父島には母島出身の方用の寮もあるみたいですし高校までは小笠原諸島での生活が過ごせるそうです

そしてとになく南の島なので植物がすごい。斑入りのでっかいものもあればエバーフレッシュのような植物などあちらこちらに植物と共生している姿が見られます

レンタカーを借りることはできなかったので原付を借りて島を回ります。高低差が激しく、中々にハードですがそこまで大きいわけでもないのでゆっくりゆっくりで島を楽しめるというわけです

そして流石の大自然。岸壁、海、ジャングル。母島自体に危険な生物はいませんが一歩間違えてしまえば命の危険もある、そんな自然が目の前に。ただ何をするわけでもない、座り込んでぼーっとする幸せと自由がそこにあります

(このトンネルめっちゃ怖かった)

落ちているものもたまには見たりして。シーグラス、石、ドラゴンフルーツ、謎のリス。島には不思議でいっぱいです

日も落ち始め、島がなんとも言えない雰囲気に包まれる頃。その度に何度も何度もすでに巡った場所にもう一度原付を走らせて何か変化をないか探しに行くのです

何度も見たけど全く違う風景。これは何日も滞在して足を運ばないと見れないもの。東京だけど東京じゃないような場所、それを求めていった結果が目の前にあります

展望台に登り、赤く染まった変わった形の雲を眺めて一日が終わろうとしています。他の島と違って一緒に眺める人が全然いないのが母島の魅力というかただ一人そこに自分がいるというか。起きてから寝るまで自分は一人、そこがいいんです

夕日も沈み、空から灯りが消えると数え切れないほどの星々に囲まれました。これほどの星は今まで見たことがない、そんな感動です。肝心の自分の写真はというと昔と比べ物にならないくらい星撮影が下手になっていたのでお見せできるレベルではないのですがただただすごかったということだけお伝えしたい

朝も夜もたった一つのスクーターで駆け巡った母島の旅。多分もう二度と来れないかもしれない、そんな気持ちで後悔しないように過ごして来ました。なぜか父島よりも感慨深いというか特別な気持ちになれたのも11月の夏という特別な環境の中だからこそかもしれません

次はあるのかな、でもありそうな気もする。そんな予感がする。

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