言葉で表せない魔力、Mitakon。中一光学 “Speedmaster 65mm F1.4”レビュー


GFXを使い始めてからというもの、ほとんどは純正レンズを使っていたものの時にはRokkorのようなMFレンズを使っていた昨今。それでもずっと気になっていたレンズがありました。その名前はSpeedmaster 65mm F1.4。海外ではMitakonと呼称されているレンズです

発売当初より海外のYoutubeなどでは非常に高い評価を得ていて周りのGFXを使っているフォトグラファーからも賛美のコメントを得られてはいましたが手を出すことなく1年以上経ってしまいましたが最近写真がマンネリしていることもあり、今回購入する運びとなりました

最初に答えから申し上げましょう。このレンズはとてつもない魔力を秘めています。なんとも言葉にしづらいその魅力は鉄となり、重さとなり、私の腰と肩へ多大な影響を与えています。一言では語れないこのレンズの魅力と弱さを書いていくことにしましょう

SPEC

スペックは以下の通りになります。良かった点、悪かった点は後述します

焦点距離 65mm(35mm判換算:51mm相当)
フォーカス マニュアルフォーカス
レンズ構成 7群11枚(EDレンズ1、超高屈折率レンズ2、高屈折低分散レンズ3)
最短撮影距離 0.7m
最大撮影倍率 0.12倍
記録メディア SDカード、SSD
絞り F1.4-F16
絞り羽根 9枚
フィルター径 72mm
サイズ Φ82×106mm
重量 約1050g

Speedmaster 65mm F1.4

GFX用Mitakon 65mmになります。最近GFX用にMitakon 80mmも海外で発売されましたが、この65mmはその80mmと見た目は一緒ですが遥かに重いレンズになっています。重さとは強さなのか、そこについては断言できないですが重さなりの質感の高さと使っている高揚感を得られるのは確かでしょう

質感もですがデザインも素晴らしく、純正レンズよりもGFXボディに馴染みます。今では採用されているレンズが少ない距離計も刻まれているのでレンズらしさというものがより感じられるのかもしれません

こうして手に取ってみるとそこまで大きくなく軽そうなレンズに見えますが現実は甘くなく、1kgを超えるヘビー級の質量を包括しているので片手で持つのは危険な部類になります。F1.4という明るさを得るのは簡単な道ではないということでしょうか

Good / Bad

Good

F1.4のボケと解像力

とにかく一番の特徴はこれです。中判でF1.4ということはとてつもないボケ量なのでその分ピントとの勝負にはなるのですがとにかくボケます。そのボケもしっかりと硬さというか芯があるので見れる「ボケ」を感じます

描写力についてもオールドレンズと現代レンズをミックスしたようなしっかりしているけれど柔らかいという往年のXFレンズのような印象を受けました。中判を一番楽しめるレンズなのではないかなと思います


デザインと質感

GFXのボディに合うレンズってあまりないのですがこのレンズは距離計が刻まれているデザインに加えて金属の塊なんだと感じさせるひんやりとしたその質感とデザインがベストマッチで眺めていてもニヤニヤできてしまうような魅力があります。写りも大事ですけどやっぱりかっこいい方がいいですからね。ここが大事です


スムーズなピント調整

MFレンズなので何よりも大切なのがピント調整がどれくらいやりやすいのかということですがこのレンズはピント調整がピーキーというよりかは確実に合わせられるようにスーっと滑らかに合わせられるようにMFリングが作られているように感じます


撮影が楽しく感じる

買う前と買った後で認識が大きく変わった部分ですが買う前はMFだし重いし良い写真が撮れても撮影が面倒なんだろうな〜という認識だったのですが今ではあんなに愛していたGF80mmでの撮影体験がちょっとつまらなく感じてきたほどでした

理由はよくわからないのですが純正とは違う写りにMFというシステムから生まれる撮影の丁寧さ、どんな写真が撮れるんだろうというワクワクから撮影が楽しく感じさせてくれるんじゃないかなと思っています


10万円という値段

どんなにいいレンズでも高ければ高嶺の花。このレンズは10万円ちょっとで買えるというお手軽さも魅力の一つです。大手サイトでのリセールバリューは目も当てられないですがフリマサイトなどにおいても買値とほぼ変わらない値段で売却することもお手軽に手を出せる理由の一つになっているのかもしれません


Bad

圧倒的重さ

全てはこれから、圧倒的重さです。なんと恐ろしいことにこのレンズ重さが1050gあるんです。ボディ込みの重さではありません、レンズ単体で1050gですよ? AFレンズでモーターやらなんやらを積んでこの重さならわかりますがMFでこの重さなのは正直驚きです

だからこその明るさと描写力があるのでなんとも言えないですが機動性と負担の面で言えば必ず落ちるので検討中の方はそれだけは覚悟しておきましょう


電子接点非搭載

派手に面倒くさいのが電子接点が非搭載だということ。電子接点がないとどのレンズで撮影されてどんなF値で撮影されたのかExifデータが残らないので自分で記録をしておかないと後で見返したときに訳がわからなくなってしまいます。私の場合他にもオールドレンズを使うのでごっちゃになるのが煩わしくて仕方ないです


特定条件下のムラとピント

あまり大きなマイナスではないのですが光の入り方などによっては派手にゴーストが入ったりします。それが好みであればいいですがそうではない場合にはムラがあると感じるかもしれません。また、元々描写が柔らかいレンズなので開放時においてはちゃんとピントが合っているのか確証が持てない時があるのでシビアな状況があるかもしれません


クリック感のない絞りリング

煩わしさを増長させているのがクリック感の全くない絞りリングです。そもそもクリックがないのでF値を変えても今どのF値なのかわからないですし、電子接点がないので情報としてもカメラに表示されないのでいちいち目視でF値を確認しなければならないのがめんどくさいです

逆に動画撮影なんかにおいてはない方が有利に運ぶ状況もあるとは思うのでケースバイケースです


Example

旅行にて4日間使用しましたので写真を掲載しておきます。参考程度に見ていただけますと幸いです

中判を、感じる。

半信半疑の気持ちで購入したこのレンズですが、結果から言えば大正解でした。重く、MFで、電子接点すらないこのレンズに自分自身ここまで魅力を感じたことにも驚きましたし楽しめたことが何よりの収穫でした

流動的な仕事の場では確かに使いにくいかもしれないこのレンズですがあなたの日頃のライフスタイルやこの瞬間しかない静かに流れる街の情景を写し撮ることについては間違いなくあなたの力になってくれるはずです

言葉で表せないこのレンズを、写真にこだわるあなたへ

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