もうこんな毎日耐えられない。人と話したくないし将来のことも考えたくないという逃避行状態に陥り、海外旅行で積み重ねられていたANAマイルも有効期限限界を迎えていたので北海道に行くことにした
というのも北海道のことをあまり調べなかったというか気力があまりなかったので新緑が溢れ、大自然の中を征くという妄想ばかりが勝手に頭の中に広がっていた。結論から言うと今までの旅行で一番失敗した旅となった。それでも一応現地で感じたことなどの消化として旅行記とする
試される大地
多分この旅で1番驚いたのが飛行機。席に座って軽く休憩していてもいつになってもあのブワーっていうGがかかって飛び立たないので何をしているのかと思ったら実はもう少し目を閉じてる間に出発していて北海道の滑走路だったということ。人生で頭がバグった中々ない経験だった
そして夜に北海道に到着したため千歳のホテルをとったのだが空港から乗ったバスが札幌行きだった。Google Mapは腹を切ってもらうとして旅の早々から行き詰まる結果となった
レンタカーを借りて旅をスタート。青空なんてものはそこにはなくハッキリとしない天気がずっと続いていく
そして私がネットで見てきたような青々とした緑はなく殆どが禿山だった。というのも美瑛の新緑は6月以降の話で私が見たのはクソキュレーションサイトが映し出した幻だったのだ。そしてマイルドセブンの丘は伐採されていて往年の姿は全くない。またカメラマンの悪行が観光地をまた一つ破壊したようだ
北海道の狐はフレンドリーで車相手にも近寄ってくる。でもエキノコックスさんをお持ちなので絶対に触れることはできない。昨今流行ってる病原菌よりも圧倒的にやばいやつだ
超有名観光地の青い池にも行ったが本当に青かった。本来であれば後ろの木々も緑になっていて美しいのだが池が青かったので良しとする。だが私はこの後に待ち受ける悲劇を知らなかった
朝起きて窓を開けたら銀世界になっていた。なにこれ?
それも普通に積もる量で運転に支障が出るレベル。いやなんてことはない、北海道のレンタカーなんだし勿論こんなことは想定してスタットレスだろう。確認した、夏タイヤだった。この日は山間部を抜けて知床方面に行くはずだったので勇気を出して車に乗って運転してみた。進まない、アクセル踏み込んだらドリフトした。この日はどこにも出ることができずただ一人宿で過ごすことになった
少し歩いて近場を見てみたが昨日とは別世界。もしこの日の宿が温泉付きじゃなければ私は死んでいただろう。そしてもし翌日除雪車が通ったとしても凍結の可能性もあるし山間部が完全に除雪できるとは限らない。私は道東を諦めることとし、札幌方面で旅を急遽全体的に練り直すこととなった
それより精神が軋んでいた。雪に軟禁され独りでただ佇む私。どうしてこんなことをしているんだろう、どうしてこんな人生を…。多分もう旅行を一人で楽しめる今までとは全部変わってしまったんだろう。今回の旅は海外旅行を長期するよりよっぽど自分探しの旅だった。もう楽しめないんだと知った
そして翌日。除雪車も通ったが凍結の恐れもあるので雪がない場所まで慎重に逃げる
雪がもたらしたのは涅槃の機会だけではなく面白みのない禿山を幻想的にしてくれていた。これは12月ではなく5月である
美瑛は美しいグラデーションへと姿を変えていた。そして幸いにも美瑛の中心地側はそんなに積雪していなかったので何とか抜けることができた。この雪がなければ美瑛は全く記憶に残らなかっただろう
札幌に到着。個人的視点で言えば札幌に観光地なんかあるのかという感想だったが実際に見るようなところはほぼなかった。2時間くらいあれば事足りる
唯一見所に感じたのが札幌ビール博物館かな。札幌でのビールの歴史と重厚なレンガを見るにはオススメなのでここだけ行ってあとはジンギスカンとか食べとけば札幌はクリアだ。ちなみにジンギスカン嫌いの私でも普通に食べれたので北海道すごいなと思ったけど別に牛肉でいいよねという話
あとは札幌中心街から少し距離あるけど頭大仏は迫力があった。超広角レンズないからそんなに写真で魅力が伝わりにくいけど
札幌はもう行くところがないので小樽へ。唯一テンション上がったのは泊まったホテルだろうか。築百年以上経つ洋館で雰囲気はもう大正ロマン。バイオハザードともいう
そして小樽だが…常に雨とどんより天気。何より私を苦しめたのは作られた街並みにしょうもないものばかり。つまらない…2時間で飽きる。人気のないアーケード街で小樽の古写真を見る。日本を旅してもただ作られた街並みと昔の街を比べて絶望を感じるだけなのだろうか
どこもかしこも観光価格。バカみたいな値段の海鮮。阿呆らしい
どこを歩いてもみんな連れと歩いている。私はずっと独り。自然と寂れた路地へ誘われる。雪で軟禁されていた時以上に虚しさばかり。天気のせいもあるだろう
本来はもっと北海道にいるはずだったがどうにも耐えられず、フライトを変更し旅行史上初めて旅を途中で切り上げることにした。そしてその最終日で初めて綺麗な青空を見ることになった。心も少しだけ晴れた
このままじゃ北海道旅に悔いが残ると思ってつい6000円のウニ5種丼を食べてしまった。記念だ記念
神威岬は晴天で風は強いが気持ちがいい。先端まで行くのが大変だと聞いていたけれど全然楽勝すぎて逆に驚いた
私の気持ちを少し山梨に寄せたのが蝦夷富士だろうか。羊蹄山という日本に多くある富士山に似た山の中でも一番富士に似ていると思う。まるで銭湯に描かれた絵のように地肌がはっきりとしていて見栄えがある
室蘭にも富士山とレインボーブリッジはあったんだなと
見たかった景色がようやく見れたような気がする。今回の旅ほど失敗したことはないけど多分それは私がおかしくなってしまっただけの話なんだろう。いやもう多分日本に飽きてしまったんだと思う。そこまで行きたいところが思い浮かばない。何か心が満たされない
もう旅は楽しめないのかもしれない。私はいつも独りで写真を撮る。それしかない他には何もない