自然に透明に。Gマウント軽量級レンズ“GF50mm F3.5 R LM WR”レビュー


レンズに求めるもの、まずは軽さですよね

GFXという中判デジタルカメラを使う時に必要なのは勿論財力だけどもそれと同時に必要なのは体力。体力もボディとレンズが軽ければ軽いほど負担が低いのは当たり前な話なのですが中判では中々そうはいけないもの。しかしGFXにはGF35-70mmというズームとGF50mmという単焦点の二種類の軽いレンズがあるのでみんな興味を持ちやすい

事実私もすでにGF35-70mmを持ってはいたけれどかなりF値が暗いなどの理由もありGF50mmにも手を伸ばしてみました。ここではレンズの特性を話すとともに、酸いも甘いも含めて印象を書いていければと思います

GF50mm F3.5 R LM WR

レンズについて

GF50mm F3.5 R LM WRは35mm換算40mm相当のレンズ。R LM WRは絞りリング・リニアモーター・防滴防塵という仕様なのでAFが早く、過酷な環境でも使えるというお墨付き。価格は中古で8万円ほどで84x48mm、重量335gとなっているのでF3.5という明るさではあるもののかなりコンパクトなサイズで単焦点の写りを楽しむことができる

どれも20万円を越えるレンズが多い中10万以下で購入することができるレンズというものは間違いなく必要だと思われます。ただし、買ってただ使うだけで何の苦しみもなく良い写真を撮れるというレンズでもないためその点を踏まえた上でこのレンズについて書いていこうと思います

Depiction

はじめは描写についてですが正直な話、そこまで素晴らしい!という感想にはならないと思います。GF35-70mmと比べた時にその描写の差は微々たるものですし単焦点レベルの解像感やボケというものを求めているとガッカリする可能性が高いです。そりゃF3.5ですからあんまりボケません。ただ、PCで見返してみるとしみじみといいかもな…と感じさせることがあります

それはある意味F3.5というものがもたらす『自然感』というものでしょうか。F1台やF2前半のようなその世界を幻想的にはしないけれど生々しい現実感というかその場に「ある」という生活感のような記録写真のさらに上のレベルを目指すならば最適なのではないかとも思えます。ある意味使いやすくもあるので私は開放で使いっぱなしなことが比較的多いです

ボケない、解像感は特別良くはない、だけども自然に魅力的。わかりやすい良さというよりかは旨味のようにジワジワするようなものなのだと思います。なので一本目の単焦点ではなく二本目の単焦点として選ばれるべきかもしれません

Comfort

次に快適さについて。快適さという面では単焦点最軽量最小サイズということでまずは軽くて小さいです。それだけで重くて大きいレンズが揃っているGFXの中でアドバンテージが取れます。ただ、GF35-70mmと比較した場合はその差は少なくGF50mmが84x48mm,335gに対してGF35-70mmが84.9×73.9mm,390gなのでそこまで大きく変わるわけではないです。金額面的な快適さで言えば新品価格はほぼ変わりないですが中古価格はGF35-70mmの方が3万ほど安いので多少快適ですね

ただしGF35-70mmは沈胴式レンズに加えて解放時の近接描写が終わっているので快適さは遥かにGF50mmの圧勝ですので35mmという広角がいらなければGF50mmの選択肢は良いかと思います。広角はいらない、ボケもいらない、軽いのがいいという方にはこのレンズが一番快適でいてくれるんじゃないかなと

Difficulty

最後にこのレンズの難しさについて。私がこのレンズで一番難しいと感じたのが魅力的な写真にするための「距離感」というものがシビアだなと使っていて思いました。GF50mmは全く寄れないレンズなのですが50mm、換算40mmという焦点距離が何かを撮るには遠く感じてしまうと思うことが多々あるので、その人個人ごとに感じる相性の良い焦点距離というものに合致しないと自分の中の違和感がぬぐい切れず、どっちつかずなパッとしない写真になってしまうと思います。早い話、近くまで近寄れっていうことなのですがそれができない心情や状況、場面が絶対あると思うのでトリミング前提でいくか無理やりいくかなどの選択が迫られます

そうした距離の問題や単焦点としての解像感などの難しさがあるので撮影時に撮っていてあまりテンションが上がらないことや他のレンズでもいいのではないかという発想が出てくるのでこのレンズにあまり人気がないんじゃないかなとも少し感じました。実際私も使っていて結局GF80mmを多用してしまうことや一本で行くときにGF35-70mmで済ませてしまうこともあるので中々微妙な立ち位置を強いられています

そして何より感じるのがそもそもボディもコンパクトじゃないのにレンズに「手軽さ」を求めることに意味があるのか、ということです。ポケットサイズのカメラに軽いレンズを求めるのはわかりますがある程度「撮る」という覚悟をした上で外に持ち出すカメラであるGFXに軽さを求めるGF50mmはチグハグな感じもあります。勿論軽いに越したことはないのですがこのレベルのカメラになるとそこまで大きな問題ではないのかもしれません

どれを選択して、どれを捨てるか。あなたが無意識に感じている「好み」という感覚を教えてくれるレンズなのかもしれません

Samples

その他にも撮影した写真があるので参考程度に見ていただけたらと思います

癖なし、いや癖あり

軽く使い勝手の良いレンズかと思いきや人を選ぶ側面も大いにあるレンズだと短期間の使用ではありましたが感じるものがありました。『単焦点』というものに何を求めるのかということも勿論ありますしそれが各個人の感覚によって好き嫌いが別れてしまうところがあるのだと思います

こうして振り返ってみると撮影していたときはそこまで印象的に感じていなかったレンズが、撮れた写真を見るとハマったときの自然さ・魅力というものが全て詰まっているようにも感じられてまた使ってみようかなと思ってしまうレンズなのかもしれません

このレンズを使いきれるかどうか、それはあなたの感覚と感性にかかっているのかもしれません

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