もし1つのレンズしか所持できないとしたらどのレンズを選びますか
各マウントによって答えは異なると思いますが私が使っている富士フィルムのXマウントでその問いを聞かれれば間違いなく私は『XF56mm APD』と答えます。おそらくかなりの人はXF35mm F1.4と答えるでしょうが究極の一枚を撮るためにこのレンズを選びます
以前、購入時にもレビューを書いたのですが、そんなAPDを溺愛する私による1年継続使用後の個人的感想・使い方を諸々書いていく記事になります。特に真新しいことは書いていませんがとにかくこのレンズを愛しているので書き綴ります。今回のこの記事ではVSCOを使わずX-T2のプロビアで撮影した写真になっていますので安心して御覧ください
瞬時に理解できる凄み
ファインダーを覗くだけでこのレンズは違うという世界を見せてくれるのはXF56mmのみだと私は感じています。隅々まで行き渡った解像感。それは開放に近づけていけるほどに実感できます。良いレンズは覗いたときにわかると言いますがまさにその通りです
ボケ感よりも立体感
私が一番強く主張したいところです。よくAPDレンズではボケを主役に語られますが、私はAPDのボケは立体感を際だたせるための副次的なものだと考えています。つまり周囲の高品質なボケは眼を見張るほどのピントのキレによる立体感のためにあるっていうことですね
そしてとにかく開放付近で使ってほしいし使いたいというのが個人的好み。昼間から開放で撮れば、白飛び気味に写真が出来上がりますがその白い空気感は最高と言う他ない…。近距離だと少しの距離でボケてしまうので難しい場面も多いが上手く付き合っていきたい
「何でもない」を「何かある」に
よくこのレンズは撮影が上手くなったと誤解させてくれるレンズという巷の評判がありますが、個人的にそれは、どこにでもある「何でもないもの」を何か意味があるようなものに演出してくれるのが大きいのではないかとボンヤリ思っています。ある意味写真の上達を阻害するのではとも不安になりますがそれでも使い続ける
ストリート向きなのでは
ボケすぎる性質上、ストリートスナップ系は不向きなのではと購入前は感じていましたがこの中望遠の画角は切り撮る観点から使いやすくカッコよくストリートを撮りたい人にもむしろ向いているのではないかと思います。まぁ私はそんなにストリートを撮れてはいないのですがね…
ポートレートレンズはストリートで
至高のポートレートレンズとして名高いこのレンズですが私の場合、モデルさんを用意しての撮影とかは興味ありませんしやりません。ですがポートレートの要領でストリートへ繰り出せば最高にこのレンズの真価を見れます。人と物語を撮るならばこのレンズが一番印象的に映る気がします
前ボケも印象的に
キレイなボケなのだから手前をあえてボケさせればいい感じになるのではないかと私は思うのです。前後の空間が良い意味でも悪い意味でも生まれやすいと思うんですよね。あとはそれをどう写真の中で整理していくか
切り取るしかない
中望遠のこの画角だとどうしても切り撮るしか撮る方法がない時がかなり多いのです。私は広角で撮ると思考停止しがちなのですがこのレンズじゃボケもあるしそうはいかない。それでもしっかりその場にあるものを把握して切り撮れば出来高でしっかりと返してくれるそんなレンズです
遠距離の使い方
その画質の良さを生かして遠距離にもピントを合わせてみましょう。まぁ主には風景で使いますがストリートでもちょっと遠目の平面的なものにピントを合わせれば全面キッチリピントの写真が出来上がり
こういう平面的なストリートスナップですね。少しF値緩めにして静物にピント合わせてシャッター
なのでこういう広めのカフェなんかでは前後の空間がむしろ仇になって全体の雰囲気を伝えるのが難しそうな印象。個人的にはですが
AFでは速度に合わせてシャッターを
このレンズはAFの際にワンテンポ動作が遅れている印象がありますのでそのタイミングを掴んでシャッターを切る必要があります。動くものに対しては置きピンもやむを得ない時も多いのでそれ相応の覚悟が必要かもしれません。壁にピントを合わせたり近くのもので距離を測ったり…AFが駄目ならMFだ
作例集
プロビアで撮影した写真たちです。いじらなくてもこれくらいは撮らせてくれるっていう参考にどうぞ
このレンズなら空気感も掴めるかも
全く参考にならない言葉の数々ですがそれほどまでに富士フィルムを使っている方には一度試してほしいと感じるレンズです
値段は10万を超えますしAFも速いと言えない、いやむしろ遅いまであるこのレンズですがそれを上回る立体感・解像感・ボケがあります。フルサイズなどの大型センサーにボケ感や解像感で負い目を感じている方も多いと思いますがこのレンズは私のフルサイズへの未練を断ち切ってくれました。このレンズなら空気感という抽象的なものですら映しきってくれるかもしれないと期待しています
そこはまぁ自分の腕次第なのですがね