七面鳥遊覧飛行 : 後編


早くも旅最大のハイライトと言ってもいいかもしれない。ありきたりかもしれないし目新しさはないかもしれないけど私はここ、カッパドキアに来たかったのです

アンカラからバスに揺られること数時間。カッパドキアの中心街ギョレメに着いていきなり飛び込んできたのが奇岩群。
これだよ、これ。これを待っていたんだとトルコで一番テンションがあがったかもしれない。アメリカの西部ではこれより大きいものが見られるだとか雑音が聞こえるけどこれにはこれの楽しみ方がある

中心街ギョレメの町並みは以前旅した南イタリアの街々とどこか似ている感じがします。洞窟という共通点があるからかもしれないですが基本はギョレメを拠点にしつつ近くの街や景勝地に赴くのが大体の流れ。だがこの日、私は早く寝なければならない理由がありました

そう全てはバルーンのために

カッパドキアといえば壺ケバブとバルーンと言えるほど代表的なイメージとなっている名物で、朝の4時頃から準備して一時間ほどカッパドキアの空を遊覧飛行するというプラン。勿論天気や風によっても実施できるかが変わってくるし値段もコロナ前と比べても高く、私の場合は250ユーロも支払いました。安いプランだと周りのバルーンたちから遠ざかって飛ぶものもあったりするみたいなのでこれは仕方のない出費

でもこのバルーンは絶対に乗るべきだと思うし値段に見合うだけの価値があったと今でも思う。まだ開ききらない目をこすりながら朝4時に迎えが来て出発。目的地では死ぬほど寒かったのでチャイとパンを頬張って凌いでいたがバルーンに火が灯されていくと寒さも段々と忘れていきました

そして飛び立つと圧巻の景色。朝日を横目に100近くのバルーンと共に空へ。上手く言葉にできないけどこれ以上はないんじゃないかと思う

終わった後はシャンパンを呑んでお終い。正確にはチップくれ~タイムだったような気もするけどまぁいいや

そして一緒のバルーンに乗ったことで知り合ったのが私より少し年上の日本人の男性。解散した後も朝のお茶をすることに。海外を旅した話など色々して盛り上がりましたがこの方どうやらイスタンブールで祭りがあるとついていって飲み食いをしていたら金を払えと言われ荷物を取られて半軟禁状態だったというヤバい話を聞くことに

幸いスマホなどはあるもののカードも取られ現金が全くない状態だったので5000円分ほど貸しました。これもまた旅の縁ということですねぇ。勿論お金はもうお返ししてもらってるのでご安心を

バルーンも終わり朝9時ほど。ここから地獄の歩きが始まります

カッパドキアには周辺の街、奇岩群、レッドバレーなどの渓谷など色々なスポットがあるのですが私はそれを全て歩きで巡ろうとしました。勿論、超快晴の炎天下のなかを

今にして思えば馬鹿なコトをしたなと思うのですが写真撮りは歩かないことには良い写真は撮れないのです。肌はトマトのように真っ赤っ赤になり風呂がしんどくなりましたがそれでも歩かなければいけないのです

もうどこを歩いても良い景色があるのでボーナスタイムです。良すぎてどこを撮っても良くなるので正解がわからないのが若干しんどいですが。途方もなく歩いてそして次の街へ。ただただ気持ちいい、いつも流れる時間と同じ速さだと信じられない開放感が私の中を包んでいました

そしてトルコには野犬が多くいますがカッパドキアの野犬は餌などをあげていないのについてくるので数時間共に過ごすという奇妙な体験をしてしまいました。みんな愛想がいい子ばかりで可愛いと思うと同時にやっぱり心の中では飼い主という存在を求めているかもと思うと悲しさもこみ上げてきます。そして写真の彼は他の野犬のテリトリーを越えられずに悲しい別れとなりました。夏だね

写真の面で言うならトルコには圧倒的にレトロカーが多いので人を撮るよりもつい車の方ばかりを撮ってしまうという問題も多々あります。でも物語を感じるのであればそれは人でなくたっていいのです。勿論車じゃなくたって気球であってもいい

疲れたらカフェに入ってチャイかコーヒーを。そしてなぜかトルコのコーヒーが滅茶苦茶うまい。日本でもあんまり飲まないのに

カッパドキアではインドネシアに住まわれている日本人夫妻、ジョージアに逃げてきたロシア人、5年間もずっと旅をしているフランス人など様々な生き方を聞いて話して良い経験になったのは確かです

人生は一回きり、フランス人の彼はそう言いましたがお金もまた有限ということ、それだけは確か

そしてトルコからギリシャに行くに当たりその間の街も多少行ったりもしました

水色の温泉と段々になった景色が有名なパムッカレに深夜バスで行ったのですが結論から言うとパムッカレはかれっかれでした。というのもカッパドキアでタクシーに乗ったときに運ちゃんがギョレメ→デニズリではなく直行でパムッカレに行くバスがあるよ!と教えてくれたので急遽チケットをキャンセルしてギョレメの現地バスでパムッカレ早朝着をゲットしたもののやっぱりというか結局その直前の街であるデニズリで降ろされるという

じゃあパムッカレ行きなんて書くんじゃねーよと思いつつ何故か無料だったローカルバスでパムさんへ来たのでした

かれっかれの原因としては政府が温泉の流れを誘導しようとあれこれしたら失敗して温泉が出なくなったようです。ローマ時代からの景勝地がここで途絶えたか…まぁ正直深夜バスを使ってまで来る場所でもなかったなというのが素直な感想。というより遺跡群のほうが個人的に良かった

この街でも山道辛そうだからと車に載せてくれたりと本当にトルコの人優しい。イスタンブールはなんだったんだろう?

そしてデニズリに戻ると予約していたマルマリス行きのFlixbusが急遽キャンセルされていたので早朝着のバスに変更していなかったら一体どうなっていたのか…運命とは偶然なのか必然なのか、奇妙な巡り合わせが続きます

なんとか到着したトルコで過ごす最後の街、マルマリスはクロアチアの港町みたいな雰囲気もする穏やかな街。この街でトルコの最後を過ごせて本当に良かったです。宿は広く穏やかで自由な日々が続いていくような心がスッキリするような日々でした

人生で一番おいしかったケバブです。それなりに値段はしましたが量も多くとにかく美味しい。赤い唐辛子は…辛かった…定員に笑われるくらい辛い辛い言ってました。それもまた思い出。このトルコという国は一週間やそこら行ったくらいで語ってはいけない魅力がありすぎる国でした。私はまだトルコを知らない、絶対にまた来なければいけない

でも今はさよならトルコ、いくぞギリシャ。

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