青春のど真ん中だった慶良間諸島へ、再び。


それは沖縄へ旅行することになる数週間前のこと。久々に高校の友人と再会して居酒屋で思い出話に花を咲かせていた。様々な思い出を頭に湧いてきた順になぞっていく…そこで出てくるのが高校2年の時に行った修学旅行の沖縄のことだ

沖縄本島での記憶が殆どだったが今では忘れてしまったような青い記憶が残っているのが沖縄本島からフェリーで訪れることができる離島、座間味島のことだった。座間味島は慶良間諸島国立公園に属しており世界的にも芳醇な青の海がケラマブルーとして有名な島だ

しかし当時の私はそんなことは知らず、確かに海はキレイだったという記憶で止まっている。というのも200名以上の生徒が島に行ったのだからほぼほぼ貸し切り状態になりながらも行動は制限される。私は友人たちとレンタサイクルを借りようとしたり夜に脱走して遊んだりもしていたが集落と近くのビーチしか知らなかった。あの日諦めたあっちの道の先に何があるのだろうか…私達男2人は過去の記憶を取り戻すように8年ぶりの慶良間諸島へ旅立ったのであった

旅立ち

今回の旅は始発のバスで羽田空港へ向かい、ギリギリで保安所を通過してからタクシーを飛ばしてもらいフェリーに乗船するという非常に慌ただしい旅だった。そんな日程だったけども現実に疲弊して過去の思い出を確かめに行きたい私達は強行した。結果としてはギリギリになりつつも問題なく乗船することができた

沖縄本島から出発し、阿嘉港を経由して座間味に行くことになるが本島側で見た海とレベルが違う美しさを目の当たりにする。慶良間に近づくに連れて海の色ときめ細やかさが増してまるでスライムのような粘度にすら感じる

慶良間諸島の中で阿嘉だけ抜かしてしまったけれどまた来たい。また次来る理由を残しておいた

思い出の座間味へ

そうして私は座間味島へ8年ぶりに帰ってきた。あまりの快晴と美しさにまだ感傷に浸れるような気分でもない。私達はまさに狂気とも呼べるレンタルチャリンコ島一周を敢行した。竹富島のような起伏がない島であれば余裕だがこの座間味は起伏が激しく山だらけの島だ。まさに私達は死の境目を旅したようにも思う

パンクした自転車で向かうは各展望所。沖縄でしか見ることのできない絶景を見るために足を潰してでも坂道をあがっていく。ペットボトルの飲み物は次々消えていき、補給線との戦いでもあったのだが次の展望を考えると無理してでも向かってしまう魅力があった

汗をかいたらビーチで涼みながら。座間味随一のビーチである古座間味ビーチも修学旅行で遊んだ場所であり少しずつ私の頭の中に青い記憶が蘇ってきた

当時歩いた道を歩く。泊まった場所、座った場所、星を見た場所…記憶の断片だけれどまだ忘れてはいなかった

他の人が見れば何でもない写真。でも私はこの場所に立ったときに一気に記憶が押し寄せてきてありとあらゆることがフラッシュバックした。なぜかこの場で告白された記憶なども。座間味へ来なければ全て忘れたままだったかもしれない

現実にいながらも夢の中にいるような不思議な感覚のまま道を歩く。山で明かりが届かない側では夕日は見えず半分は諦めつつも歩いていると絶景が目の前に飛び込んできた

このときの美しさは言葉で表すのが難しい感情だった。ただ心のなかで「あっ…」と呟いたのだけは憶えている。座間味の人々はみな親切で暖かく面白い方々だった。宿に働きに来ている大人びた青年、ポケモンGOを詰んでいるおじいさん、飲食店なのに断食のデトックスを勧めるお兄さん。訪れた観光客は長い時間を経てまた座間味へ帰ってくるようだ。私が次来るのはいつになるだろうか

渡嘉敷の美しさ

座間味で過去を消化した私達は市営の船を経由して渡嘉敷島へやってきた。個人的にこの島が私にドンピシャで、楽しい美味しい美しいを全て叶えてくれたように思う

阿波連ビーチの美しさは素晴らしく、ああ…沖縄の海だと涙を流したくなるほど青く透き通った美しいビーチだった

こんな穴を見つけたらもう止まらないだろう

流石に懲りた私達はレンタカーを借りてこの島の全てを巡ることになる。渡嘉敷は座間味よりも巨大で険しい島なので、もし自転車を選択していたら今頃アスファルトに溶けていたことだろう

今回は写真真ん中の白い車が停まっているアロハレンタさんでレンタカーを借りた。車を返してそのまま港から沖縄本島にいけるので非常に便利だ

沖縄の天気、特に離島の天気は本当にすぐに変わるので天気予報がアテにならない。晴れていたと思ったらすぐに曇ったり、一日曇り予報だったのに殆ど快晴ばかりだったりと一喜一憂するのが馬鹿らしくなる

巨大なヤドカリを見つけた。波照間島で見たヤシガニと比べると小型だがこの年季の入った貝殻を見る限り、相当センスの良いやつだとわかる

愛犬に会わないと発症する禁断症状はこの子で少し緩和された

沖縄禁断の氷菓、ブルーシール。もうこれを一つ食べてしまえばお終い。気がつけば何個も食べることになる

渡嘉敷では初めてダイビングをしてみた。スキューバで見る世界とは違い6-7mまで潜るためサンゴ礁と魚を目の前にすることができる。今回は僥倖なことに普通では見ることができないサメを目の前にすることができた。何やら恵まれているようだ

7m下のサンゴ礁まで上から影を確認することができる。とてつもない透明度だ

沖縄の離島はヤギがいるのがデフォルトだがこの島でも例外ではない。波照間のヤギは非常に温厚で撫で放題だったので今回もやってみたものの見事に角で思いっきりドツカれた。ごめんよ

ダイビングもして泳ぎ疲れたら釣りの時間だ。某漫画の影響をモロに受けているが根掛りだけはお手の物だ

そういえばビーチでは以前とは違って泳げる範囲がかなり指定されるようになっていた。ビーチってある地点からいきなり深くなるので注意が必要

食べて泳いで潜って。なんか大抵のことは楽しんだ気がする。関東では寒くなってもう夏は終わったかと思っていたがまだここには残っていた。緊急事態日本の最後の夏

写真を撮るなら青い海だけではなく独特の空気感がある市街地が素晴らしい。ここで暮らしていたらあったかもしれない日常も頭に浮かんでくる

展望所からの夕日。仰向けになって撮ってみた。水面が反射しているようだ

木々が夕日に照らされ紅葉のようだ。今日も渡嘉敷の日が沈んでいく

太陽の光が漏れて空に放出されていく。これで見納めかと思うと悲しくなってくるが渡嘉敷のフィナーレはこれで終わりじゃない。座間味ではイノシシの叫び声が聞こえて中々踏み入れなかったが今の私達には車がある。そうだ、星を見に行こう。市街地の光が届かない場所まで

これまで見てきた中で最高だった波照間島の星空にも引けを取らない絶景の星空があった。旅のフィナーレに相応しい景色に、ここへ来た意味が本当に理解できた気がする。宿で借りたライトで天体ガイドをしながら渡嘉敷の短い夜が過ぎていく

そうして船に揺られてまた本島へ。こうしてまた日常へ帰っていく

高校の思い出は消化した。また次来る時は今回の旅の思い出も消化できるだろうか。その前に竹富島の思い出も消化しなければならない。旅は繋がっていく

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