富士フィルムからまたニコンへ帰ってきた。それはニコンへの期待が高まっていたからなのかもしれない
敷居が高かったフルサイズというものへ気軽にアクセスできるようにしたのがこのNikon Z5。Z6/Z7共に、購入した人々からは称賛を集めつつもエントリー層の入りにくさからあまりシェアを獲得できずにいる印象だったがこのモデルからは一気に攻勢に転じるようだ
この記事ではファーストインプレッションとして簡単にZ5について書きながら長年富士フィルムユーザーだった私がZ5を使ってどう感じたのかについて書いて行けたらと思う
Z5
まず最初は開封と付属品から
付属品は至ってシンプルで以下の通り。マップカメラで購入したためよくわからない非売品メディアケースが付属したがなかったことにする
ストラップは相変わらずダサいので封印することにする。バッテリーはZ5から採用されることになったEN-EL15c。今までのタイプより大容量になった。余談だが公式ではEN-EL15bであればZ5でも使用できるとあるが勿論これは純正の話であり非純正のバッテリーの場合、警告画面が出て使用することができなかったので注意だ
それではZ5について見ていこう。相変わらずデザインはダサく、赤いワンポイントもペンタ部のへちまも全部ダサいがもうNikonのデザインは終わってるので我慢することにする。全面にはFn1,2とカスタムできるボタンが2つあるのでAFモードやエリアを割り当てると良さそうだ
軍艦部も見ていこう。富士フイルムの見慣れたISOダイヤルは消え去り、一眼レフなどでよく見るモード切替ダイヤルへと変化。右下のダイヤルでは色々な設定を割り当てることができるので私は露出調整にした。問題があるとしたら富士とは明暗の方向が逆なので慣れるのに時間がかかりそうだ
私がZ6ではなくZ5を選んだ理由は多々あるがその中でも大きかったのが肩液晶の有無。個人的には存在意義を感じていなかったのでシンプルな軍艦部が良い
背面にはボタンが多いが集約すればもっとスッキリしそうな気はする
注意すべきはジョイスティックの加減か。富士フィルムのジョイスティックは軽く方向に倒せば使用できたのだがZ5の場合は押し込んでからではないと重くてうまくAFポイントを移動できない。誤作動防止のためなのだろうが長時間使っていると疲れてくる。ただし押し込んでからのポイント移動は富士よりもキビキビ移動するのでシャッターチャンスを逃しにくいだろう
側面にはケーブル類。Z5はモバイルバッテリーでの充電に対応しているので時間の合間に給電が可能だ
センサーはご存知の通りフルサイズ。これに手ブレ補正も搭載されているのから素晴らしい。Z6とは違い裏面反射型ではないが大きな違いはなさそうだ。個人的には少しノイジーに感じる部分もあるがこれは個人的な印象に過ぎないだろう
そして極めつけはチルト液晶だ。X-T4がバリアングルにしたせいでスチル撮影のテンポが悪くなったがZ5ではT2などよりもスムーズに開けるので非常に気持ちが良い。気持ちが良いで言えばEVFも富士のものと比べ自然で見やすく、文句がない。動画を撮らない私にはありがたい機能が全て入っている
そしてZ6よりZ5な部分の極めつけはSDカードダブルスロット。XQDだかなんだかが良いのはわかりますが高いしシングルスロットは不安すぎて無理だということでZ5に軍配が上がる
Z 24-200mm f4-6.3
最初の一本に選んだのがZ24-200mm。高倍率ズームレンズではあるがそれを思わせない描写を誇るレンズだ。ただしおわかりの通り、少し大きくかなり暗い。光量が少ない場面においては必然とISOをあげることになりそうだ
Z5とのバランス的には結構ギリギリなところにある。そしてこのレンズのズームリングがかなり重く、少し使いにくい。せっかくロック機能があるのだから普通に軽い回しにしても良かったのではと思う
インナーズームではないため伸びれば全長はこの通り。しっかりと左手で支えないとすぐにブレる
不満点としてはこのフード。富士ではプラスチック、または金属フードしか使用したことはなかったがこのフードは…なんだ?紙か?というぐらいに質感がひどい。つける気はしないのでタンスの肥やしになっていただくとする
悪いといえばだがZ5の微妙な点として背面液晶の解像度が低い、連写が4.5コマ/秒、手ブレ補正がそこまで強力じゃない点が挙げられる。動画は撮らずスチル専用、その中でも連写を必要としない人たちにZ5をオススメしたい
作例
鎌倉付近で写真を6時間ほど撮影してきたので参考程度に見ていただきたい。色は全てスタンダードの標準色だ
私はNikonに黒を望んで購入へと至ったが撮影してみると逆に白が際立っていた。垢ぬけた絹のような白は他のメーカーでは見られない私好みの白だった。色収差が葉っぱに見られるがまぁこんなものだろう
ズームレンズでここまで質感が出るのかと少し驚いた。このレンズがただのズームレンズじゃないと言われている理由が少しわかった気がする。そしてグリップが深いので撮影していて不安を感じることはない
私が望んだ通り、トーンがニュートラルで自然。悪く言えば印象が薄いということにもなるがこの自然で違和感を抱かせない写りが気に入っている
そしてなんとも言えない緑も特徴的。濃くて印象的にも見えるのだが自然にも感じる緑が素晴らしい。Nikonに来た甲斐がある色味だ
非常に便利なこのレンズだが、最短撮影距離が0.5mとテーブルフォトには少し難しい気もする。俯瞰できる環境があれば少しは撮影しやすいだろう
200mmのテレ側でもその解像度は健在。f値は暗くなるので昼かISO感度を上げなくてはならないが安心して望遠も任せられる
そしてこのNikonの黒の粘りが素晴らしい。白も印象的だったがそれも黒の締まりがあってこその色味だろうと言えるほどよく黒が粘る
黒も白もいける。これを求めていた
200mm。天候が悪い中でもそこまで悪い写りじゃない
f5.6。逆光耐性も中々
この日は大体6時間の撮影で750枚程度だったがバッテリーは1目盛しか減らず良好な電池消費を見せてくれた。バッテリー1つあれば一日くらいはこなしてくれそうだ
感じた不満点
クリアな写り、自然なシャッター、軽快なバリアングルと素晴らしい点も勿論あるが今回は少し不満点も感じた。富士ユーザーからの目線で好き勝手に書かせてもらう
レンズ着脱ボタンの問題
まずはこれ、レンズ着脱ボタンの問題。というのも撮影中、気が付いたらレンズが取れていて何故かレンズを手に持っているという非常に危ない状況が幾度もあった
これには要因がいくつかあると思う。原因として考えられるのがボタンの位置・形状・レンズとの相性だ
まずは着脱ボタンの位置だが、グリップとは逆側にボタンがついている。グリップと逆側にボタンがついているのは国産デジタルではNikon,Canon,Olympusだけとかなり少なくはあるのだが普通は問題にならない。現に私がD5300を使っていた時代でも一度もレンズが外れたなんてことはなかった。勿論押しやすい位置にあるのも事実だがそれよりも問題なのがボタンの形状。CanonのR6などがボタンをフラットにして押し間違えがないように設計されているのに比べ、Zシリーズはボタンが突出していてサイズが大きくなっていて、嫌でも押してしまう
極めつけはレンズとの相性もある。おそらく小さめの単焦点などならあまり起きないのであろうがZ24-200mmの場合、長筒なことに加え真ん中のズームリングを調整しながら写真を撮る場合、否応でも手のどこかしらがボタンに触れてしまう問題がある。知らずのうちにボタンを押していてズームリングを回していると…あれ何故かレンズが外れているぞ?といった具合になる。ボタンがフラットであれば問題ないのだが…正直Nikonの設計を疑うところだ
電子制御の問題
Zの高画質な絵作りの犠牲になったのかは知らないがZマウントレンズにはコントロールリングがついていてそこにフォーカス調整や絞りといった機能を当てはめて使用することができるため、富士フイルムユーザーの私は勿論絞りを割り当てて撮影に臨んだのだが非常に使いにくかった
というのも機械式ではなく電子式のため、リングを回した量とf値の量が釣り合わないのだ。これはフォーカスを割り当てても同じで、普通の機械式であればこれだけ回せばここにピントがとかこれぐらいのf値になるといった感覚的なことが通用しない。そして非常にピーキーであるため落ち着いて少しずつ少しずつ調整しないと、とんでもないf値になってしまう。富士フィルムでいうならf11にしようと絞りリングを回したらNikonの場合f36ぐらいになる
なのでそういうものと割り切って使うか、諦めるしかない
液晶の問題
最後に液晶の問題。液晶の解像度があまりよろしくないというのはもう常識として、ここで言いたいのがEVFとLCDの自動切換えの感度の問題
感度というよりかは、なぜかLCDに切り替わらなかったり少しカメラを上に向けただけでLCDではなくEVF表示になったりといった問題が多々あったため非常にストレスがたまった。X-T2でもEVFのアイカップが少しずれてたらダメとかそういう問題はあったがどうやらそうではないみたいで埃などもなかったため原因は不明だ
テンポが非常に悪くなってストレスがたまるのでどうにかしたい。解決案を募集中だ
人を選ぶかもしれない
写りと色味は素晴らしかったがテンポが早めな私とどうにも合わない部分があるなという風には感じた。勿論、素晴らしいカメラではあるので多くの人におススメできるカメラではあるが好き嫌いはあるだろう
高額なカメラではないので買ってから悩むのも一つの手だし無駄に時間を消費するよりかは健康的だろう。私もそうやって飛び込んで色々考えている。使っていけばこのシステムにも慣れていくだろう。慣れなかったらその時は…まぁその時だ。しばらくはNIKONを楽しもう